平成24年度 3D映像産業振興協議会 総会・講演会

平成24年度3D映像産業振興協議会総会および講演会を下記の通り行いました。

■日時 2013年3月8日(金)15:00〜17:00 
■場所 パナソニック デジタルソフトラボ
■プログラム
  15:00  [総会]
       1. 3D映像産業振興協議会の継続について 
       2. 次期役員の選出について 
       3. 会長ならびに次期会長挨拶  

  15:40  [講演]
        1. 3D映画の現状について 
             講師 キネマ旬報映画総合研究所 エグゼクティブディレクター 掛尾 良夫 氏
         2. 韓国の3D産業標準化の現況 講師 韓国
          講師 韓国技術標準院(KATS) 3D産業 国家標準 コーディネーター ユン・デウォン氏

    17:00   [閉会挨拶]
        3D映像産業振興協議会 事務局代表 鷲見良彦(一般財団法人デジタルコンテンツ協会 専務理事)

■議事録
1. 3D映像産業振興協議会 総会
(1) 報告事項
@ 総会成立の報告
事務局より、今回の総会は12名の出席ならび3名の委任状によって成立したことを報告し、オブザーバーである経済産業省
商務情報政策局 文化情報関連産業課の山中氏と総務省 情報流通行政局 情報通信作品振興課の清水氏をオブザーバ
として紹介した。その後、畑田会長が議長として司会進行を行った。

A 協議会の活動概要報告と継続提案
事務局より、平成23年度および平成24年度の協議会の活動概要について紹介を行った。また同協議会の2年間の継続提案と
平成25年度の活動案の提案を行った。

(2) 決議事項
@ 3D映像産業振興協議会の継続について
3D映像産業振興協議会の2年間の継続について、副会長の意見をお伺いした後に、決議を行った。
決議の結果、満場一致で承認いただいた。

A 次期役員の選出について
次期役員の選出について、畑田会長より次期会長として早稲田大学の河合先生をご推薦いただいた。また副会長の
留任についてご推薦いただき、それら2件について決議を行った。2件とも満場一致で承認いただいた。

(3) その他
@ 平成25年度の活動案について
平成25年度の活動案について、特に意見はなかったため、次期役員を中心に次年度検討を行うこととした。

A 平成25年度の幹事会について
事務局の村田より、平成25年度の幹事会については、次期会長と検討の上開催したい旨の連絡を行った。

(4) 挨拶
畑田会長より、3D映像産業振興協議会に関する今までの活動の総括と今後の協議会に対する期待の言葉をいただいた。
また次期会長である河合先生より、3Dが見られる環境が増えているにもかかわらずコンテンツが減少している現状を
解決するための活動を行いたいとの言葉をいただいた。


左: 次期会長 早稲田大学 教授 河合隆史氏
右: 会長 東京眼鏡専門学校 校長 畑田豊彦氏



2. 3D映像産業振興協議会 講演会
(1) 3D映画の現状について
  講師:キネマ旬報映画総合研究所 エグゼクティブディレクター 掛尾良夫氏

・デジタルコンテンツ白書の映画部分の執筆を担当している。
・3Dの映画に関する需要については話ができるが、技術的な話はできない。
・2012年の11月末の段階で3290スクリーン。うちデジタルシネマは2897スクリーン。
 81.1%がデジタルシネマ。うち3Dが1042スクリーン。
・超大作は800〜900スクリーンで公開する。これがデジタル化することでコストセーブできる。
・3Dが1024スクリーンになったことで、常に2本くらいは3D映画の拡大公開が可能な環境となった。
・2010年に公開されたアバターの場合は3Dスクリーン数が少なく、3Dが20%くらいで2Dが80%であった。
 ところが興行収入はその逆で135.9億円が3Dで19.9億円が2Dだった。
・そのため3Dスクリーンの導入が進んだ。
・2010年の日本映画の大作では海猿のみが3Dで上映した。興行収入のうち59.16億円が3Dで21.24億円が2Dだった。
・2011年の日本映画はほとんと3D作品が制作されなかった。
・2012年の映画では「マダガスカル3」や「長靴をはいたネコ」のようなファミリームービーについては2D映画の
 比率が比較的高かった。
・2012年の日本映画では「ALWAYS 三丁目の夕日'64」や「映画 怪物くん」「friends もののけ島のナキ」「貞子3D」
 などが3Dで制作された。
・3Dに関しては安全性を気にして制作しているが、ツィハーク監督の作品のように、思いっきり飛び出す映画を作るという
 選択肢もあるかもしれない。
・3Dはアバターの時のような期待は無くなったが、作品ごとに受け入れられるような静かに定着したといえるのではないか。
・ハリウッドのアニメはほとんどが3Dで制作されている。それはハリウッドの場合CGアニメが中心であるのに対し、
 日本の場合は「萌え」の表現が難しいこともあり、2Dアニメが中心なためである。
・2013年もハリウッドの大作3Dは目白押しであり、3Dスクリーンにかけるための映画作品数は十分揃っている。
・日本の作品としては「フラッシュバックメモリーズ3D」が面白い3Dの使い方をしている。
・最近の映画館では、81%がデジタルシネマになったことで映画以外のソフトの上映が増えている。
・例えばT-JOYではゲキシネという芝居のデジタル映像が小規模な映画以上にヒットしている。
・そうした動きも3Dの可能性として考えられるのではないか。
・新たな3D映像の可能性もある。例えばゴダールがcanonの4Kカメラ2台で3Dを撮影しようとしている。
・2012年の日本映画のシェアは65.5%で、地球上でハリウッド映画のシェアが最も低いのは日本。
・持続的に自国シェアが50%を超えているのは、日本と韓国だけ。
・2012年の日本の興行収入のベストテン作品のうち5作品をアニメ作品が占めているように、日本で受ける映画は世界から
 見ると変わっている。
・日本は世界で第2位の映画興行市場がありながら、年間1.2回と1年あたりの平均鑑賞回数は少ない。
・ハリウッドの映画興行収入については、国内市場はほぼ横ばいだが、輸出市場は伸びている。
・そのひとつの牽引役が3D映画である。

(2) 韓国の3D産業標準化の現況
  講師:韓国技術標準院(KATS) 3D産業 国家標準 コーディネーター ユン・デウォン氏
 
・2012年に「タイタニック3D」が21億ドルの収益を上げた
・3Dテレビとともに映画や携帯端末も伸びている
・裸眼3Dディスプレイがイシューの1つ
・パララックスバリア方式と連地球らー方式が中心。また多視点裸眼システムへの関心も高まっている。
・米国ではハイランク3Dという技術が開発された。
・60インチの高解像度の裸眼3Dテレビもいくつかのメーカーから発売されている
・裸眼3Dディスプレイマーケットは、2015年には87億ドルまで成長し既存の眼鏡市場を追い越すと予想されている。
・3D技術は医療分野にも活用されている。
・3D映像を用いた遠隔治療なども行われている。ロボット手術における3D映像はすでに重要な役割を果たしている。
・韓国は最も多く整形手術をしている国(日本は世界で5番目)。
・先進医療器材を最も多く持っている国は日本。韓国も上位。
・情報通信技術の開発指数ランキングでは1位が韓国。(日本が8位)
・3D技術は、複雑な整形技術の安全と手術時間の短縮のために必要である。
・韓国のDualStream方式の3D放送技術がATSCに採択された。
・最近はKINECTよりも精度の高いモーションコントロール技術が2013年のCESで発表された。
・3D携帯電話は、3D映像を見ることも3D映像を撮影することもできる。
・スマートフォンやタブレットでも3D機能を持つものがある。
・3D産業の発展のためには3D映像制作のコストが必要。
・コスト増加の原因のひとつは制作時間。リグの調整でかかる時間を短縮する技術が最近開発された。
・裸眼3Dは3D市場の活性化に力を与えると考えている。
・3D産業の技術開発に関した標準化に興味を持っている。
・3D映像の国家標準について8つの重点化分野を選んでそれぞれ専門家を持って運営している。
・それは4つの基盤技術と4つの応用サービス分野で構成されている。
・国際標準化のためには国際協力が必須。またお互い補完できる役割が必要。
・アメリカ、日本、中国との連携強化が重要と考えている。
・国際協力にはこうしたイベントから始まると考えている。そのため昨年度国際的なイベントを開催した。
・また標準化会議を通じても国際協力が行える。
・国家間でお互いに助け合える協力関係は競争力の確保にも役立つ。
・韓国の3Dメーカーや研究機関などを載せたディレクトリーブックを作成した。これで3Dで活動している団体がわかる。
 このディレクトリーブックはPDFで配布できる。
・IEEE、SMPTEなどの標準化機構もある。こうした機構を戦略的に活用することが重要。
・IEEEの3D医療および3Dヒューマン・ファクターWGWGの部会を運営している。WGに興味があれば参加いただきたい。
・次回の予定として、5月28日にベルギーとローまでのワークショップを予定している。
・3D融合産業協会という団体がある。そこと日本の3D産業振興協議会との連携を提案したい。
・来月グローバル3Dスタンダード&IPフォーラムというイベントにも参加をお願いしたい。

質疑応答:
Q:3D/4Dの4Dの意味は?
A:モーションやバイブレーションや物理的な効果が加えられたこと
Q:韓国ではどのくらいの方が3Dを楽しんでいるのか?
A:日本の現状とほぼ同様。ただ活性させるための意気込みが政府や企業にある。コンテンツとしては映画を活性化しようと
  考えられている。中国でも3D産業の活性化が考えられているのでそれに対抗できるように考えている。3Dディスプレイの
  強化についても考えている。


キネマ旬報映画総合研究所 
エグゼクティブディレクター 
掛尾良夫氏



韓国技術標準院(KATS) 
3D産業 国家標準 コーディネーター 
ユン・デウォン氏



(3) 閉会のあいさつ
 事務局を代表して、一般財団法人デジタルコンテンツ協会 専務理事 鷲見良彦より閉会の挨拶を行った。

以上