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セミナー「地方テレビ局におけるショートアニメーションの事例紹介」開催報告

2017年07月11日

経済産業省 関東経済産業局と一般財団法人デジタルコンテンツ協会は、「コンテンツ東京2017」において、平成28年度に実施した「地域中核企業創出・支援事業」の成果報告として、アニメ制作会社と地方テレビ局のコラボレーション事例を紹介しました。

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会場の様子

<開催概要>
日時:2017年6月29日(木)13:00-14:15
会場:東京ビッグサイト 会議棟 103・104会議室(東京都江東区有明3-11-1)
   http://www.bigsight.jp/services/floormap/
参加:41名(申込:61名)
主催:関東経済産業局、一般財団法人デジタルコンテンツ協会

プログラム:
(1)関東経済産業局のコンテンツ産業支援について
 講師:黒木忍(関東経済産業局 産業部 クリエイティブ・コンテンツ産業室 室長補佐)

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黒木忍氏(関東経済産業局 産業部 クリエイティブ・コンテンツ産業室 室長補佐)

 関東経済産業局で実施しているコンテンツ産業支援について紹介。
 関東経済産業局では、キャラクターなどアニメビジネスを利用して地域活性化が図れるのではないかと考えている。また日本のアニメ等は海外で高く評価されているものの、その人気が「収益」として日本に還元されているとは必ずしも言えない状況であると考えており、アニメを中心に支援している。
 平成28年度の取り組みとしては、国内では、地方テレビ局と中小アニメ制作会社の個別商談会を実施、3件の商談が進行中で、うち成立した1件が本日紹介いただく「ダッピィズ」。また過去に商談が成立した「スキヤキフォース」や「浦和の調ちゃん」の2次利用支援を行っている。海外では、タイの市場調査を実施後、日本に興味を持っているタイの企業を4社招聘してマッチングを行った。
 平成29年度の取り組みとしては、平成28年度の課題(国内:制作費等資金提供者を組み込んだスキームでないとアニメ制作が難しいこと。海外:日本企業が受け身体制であることや海外企業はオールライツを希望していることなど)を解決する形で進めたいと考えている。


(2)TVQ 九州放送と共同で、脱皮する新規キャラ「ダッピィズ」の展開
 講師:松本淳(株式会社ディー・エル・イー 執行役員)


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松本淳氏(株式会社ディー・エル・イー 執行役員)


 株式会社ディー・エル・イー(DLE)では、「秘密結社鷹の爪」、「パンパカパンツ」、「貝社員」といったキャラクターがメジャーになったが、小さく生んで大きく育てるということを行っている。パンパカパンツは今回の事業のモデルとなった事業。2008年に静岡放送と共同で始めた事業で、今では有名なキャラクターとコラボレーションするまで成長している。
 「ダッピィズ」は、昨年度の関東経済産業局の事業のマッチングで生まれた。DLEがコンテンツを企画・制作、TVQ九州放送がメディアパワーによる露出と役割を分担した。
本事業におけるポイントとしては、共同著作となることで放送局にとっても局のキャラクターに近い位置づけで扱えること、徹底した露出を行うことで短期間で人気を作れること、市場の反応を見ながらコンテンツのカスタマイズを行うことができること。
収益化プランとしては、書籍、セールスプロモーション、グッズ、デジタルコンテンツ、土産物、イベントなどがある。
ダッピィズが生まれたのは、脱皮が「一皮むける」というメッセージに使えると考えたから。全く波が無い所に波を起こすためには尖ったコンテンツである必要があった。地元出身のクリエイターを起用したことで、地元メディアや地元出身の有名人にも応援いただけた。
放送後Twitterで話題になったことで、各種ニュースサイトでも取り上げてもらった。また海の中道マリンワールドや毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)とコラボしたイベントを実施している。
こうした事業を成功させるために、テレビ局には下記の3点のお願いをしている。

露  出:テレビ局様の番組・イベントなど、ありとあらゆる場面でフル活用してください。
共同営業:地元企業様などの営業先(広告クライアント様、グッズメーカー様、アミューズメント施設等)をご紹介いただき、共同提案の機会をください。
そ の 他:テレビ局様のコンテンツ・財産として、ありとあらゆる活動が可能です。お気軽にアイデアやヒントを私どもにぶつけてください。


(3)群馬テレビが考える「戦隊ヒーロー スキヤキフォース -ぐんまの平和を願うシーズン- 」の可能性
 講師:植松充伸(群馬テレビ株式会社 執行役員 営業局専任局長兼事業部長)

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植松充伸氏(群馬テレビ株式会社 執行役員 営業局専任局長兼事業部長)


 スキヤキフォースについて、何故すき焼きをテーマにしたかというと、群馬県が平成26年にすき焼きの具材が全て揃うということから「すき焼き応援県」を宣言、それに賛同したため。
 スキヤキフォースは、スキヤキフォースとキライダーを中心とした悪役が戦うという簡単な構成。2分30秒の作品で全24話。シナリオライターの堀雅人氏は群馬県出身。ほとんどの話で群馬県内の実際の場所が舞台となっている。タイトルも群馬県をPRするタイトルとなっている。
 今回、ヤマダ電機にスポンサーになっていただき、スキヤキフォースをキャラクターとしたCMを制作している。第23話ではヤマダ電機の店内を舞台としている。
 2017年1月9日(月)から毎週月曜から金曜までの放送を開始、6月23日(金)で放送を終了したが、6月26日(月)から24週のリピート放送を開始した。エムキャス(ネット配信)でも同時配信している。
 コンビニエンスストアのSAVE ONとコラボして「すきやき重」弁当の発売を行ったり、LINEスタンプの販売を行ったりしている。また12月9日(土)にヤマダグリーンドーム前橋において「2017スキヤキフェスティバルinドーム」の開催を予定しており、このイベントの様子は特番として放送予定。
 現在、スキヤキフォースのシーズン2を構想中。シーズン2では海外展開も踏まえて考えたい。また群馬の観光PRとなるよう実写も含めて考えている。
 地方局としても放送外収入を考えている。地方局でアニメを制作することは難しいが、studio4℃の田中社長が群馬県出身ということや関東経済産業局の支援もあり実現することができた。今後シーズン2、シーズン3と進めてゆきたい。

*本セミナーは、経済産業省 関東経済産業局が実施する平成29年度「地域中核企業創出・支援事業」の一環として開催されました。