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デジタルコンテンツ白書2019発刊セミナー開催報告

2019年10月07日

デジタルコンテンツ白書2019発刊セミナー開催報告

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2019年9月6日(金)、城西国際大学にて、『動画の時代へ ~伸張するネットワークメディアで流通するコンテンツの全体像~』デジタルコンテンツ白書2019発刊セミナー(http://www.dcaj.or.jp/news/2019/08/2019-4.html)が開催されました。
残暑が厳しい暑い日の開催となりましたが、ご参加くださった皆様ありがとうございました。
●2018年日本のコンテンツ産業の市場規模についてデジタルコンテンツ協会の岩井が解説しました。

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アベノミクスによる景気回復を背景に、緩やかにプラス基調が続き2018年はようやくピーク時の市場規模に迫るまで回復しました。またメディア別市場規模の推移では調査開始以来、初めてネットワークが放送を超えたというトピックスについて解説しました。
※詳細はデジタルコンテンツ白書 第2章を参照ください。

●特集『動画の時代へ ~伸張するネットワークメディアで流通するコンテンツの全体像~』について、特集を執筆いただいた福冨 忠和氏(専修大学文学部ジャーナリズム学科 教授、デジタルコンテンツ白書 編集委員長)に講演いただきました。

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コンテンツのメインストリームはパッケージ、放送からネットワークへとシフトしており、その中でネット動画が最も高いポテンシャルを持っていると話されました。一方で新しいメディア環境では、コンテンツの活用の機会がまだ収益事業として成立するに至っていないことを指摘しました。
※詳細はデジタルコンテンツ白書 第1章を参照ください。

●パネルディスカッション:『ネットワーク市場で伸張する動画配信ビジネスを展望する』
パネリスト講演1:『米中に置き去りにされたガラパゴス型動画配信市場』/中山 淳雄氏(株式会社ブシロード執行役員/早稲田大学大学院ビジネススクール非常勤講師)
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通信法改正で激変した米国放送市場と日本市場の違いについて説明し、グローバルの巨大メディアを相手に日本がプラットフォームになるのは難しいと言及しつつ、コンテンツホルダーとして、ブシロードが出資しているMobiclixの事例からまだまだ勝ちパターンはあると話されました。
※詳細はデジタルコンテンツ白書 第1章を参照ください。

パネリスト講演2:『dTVの現状と今後の展望』/佃田 淳氏(エイベックス通信放送株式会社 執行役員)
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競争が激化するなか、ユーザが求めるコンテツを提供し続けるのは簡単ではないが 、自社の強みである音楽やアニメ等のコンテツを一層強化し、差別化を図っていきたいと述べられました。会員に対する「リテンション施策」を重視しており、新作のラインアップの訴求を徹底することで、少しずつその効果がではじめていると話されました。

パネリスト講演3 『AbemaTV』のこれから/川瀬 健氏(株式会社AbemaTV広告本部 営業局 局長)
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若年層に人気の高い恋愛リアリティーショー「オオカミくんには騙されない♥」の出演者を起用したオリジナルCMにより視聴者のサービスへのイメージや利用意向の向上につながった事例や、人気映画のスピンオフドラマとのタイアップ企画により大きく話題化した事例などを紹介されました。また、AbemaTVのCMは視聴完了率が高く、視聴者が企業や商品への理解や興味を深められることからも、広告効果の高さを窺うことができました。

ディスカッション
ディスカッションでは、モデレーターの福冨氏から「動画配信サービスが今後どこまで普及するか?」「海外PFにどう立ち向かうのか?」などの質問が投げかけられました。

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「動画配信市場はますます競争が激しくなると思うが、守りに入るのではなく、新たなことを一緒にやっていくなど変化に柔軟な姿勢で向かいたい。」(佃田氏)
「生活者の視点に立って言えば、日々の情報の取得方法が激変しているタイミング。今後5Gの普及やサービスの多様化によってもっと変化していくだろう。そのような中でAbemaTVは、ユーザーに支持されるコンテンツを作り続け、さらに多くの人が習慣的に視聴するメディアになっていきたい。」 (川瀬氏)
「ブシロードはメーカーなので映像だけではなく商品化も含めて海外も国内も一緒に展開している。コンテンツホルダー側としては一緒にプラットフォームを育てていくような強力なパートナーであることを目指したい。」(中山氏)
 最後に福冨氏は「今はまだ展望が開けなくて踏みとどまっている状態のように思えるが、今後も動画を中心としてネットワーク市場は拡大していくだろう。」とビジネスの可能性を示唆しました。